特集 糖尿病の療養支援―知っておきたい最新知識
「自己管理」と「在宅療養」こそ糖尿病治療の本質―自己管理の必要性と医療職のサポートについて
大橋 健
1
1東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科
pp.818-822
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100921
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はじめに
糖尿病は「自己管理(セルフマネジメント)」の病気といわれる。治療の基本である食事療法・運動療法はもちろん,薬剤の内服やインスリン注射も患者自身によってなされる点が糖尿病の特徴である。米国の有名な糖尿病の教科書『Joslin's Diabetes Mellitus』には,実に「糖尿病治療の98%は患者によるセルフケアである」と書かれている。したがって,糖尿病患者にとっては日常生活そのものが治療の場であり,自分自身が文字通り治療の主人公となる。糖尿病は,病院の中で行なわれる医療者の行為(たとえば手術や抗がん剤の点滴など)が治療の中心となるほかの多くの病気とは決定的に違う。「自己管理」と「在宅療養」こそ,糖尿病治療の本質なのである。この点を十分に認識することが,糖尿病患者の療養支援を考える上の第一歩である。
本稿では,糖尿病の自己管理を概括しながら,自己管理をサポートするとはどういうことか,私たち医療職のかかわり方について考えてみたい。
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