連載 わが憧れの老い・8
深い沈黙をたたえた老い―須賀敦子・その2
服部 祥子
1
1大阪人間科学大学
pp.428-432
発行日 2007年5月15日
Published Date 2007/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100880
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愛と結婚―その深さ故の沈黙か
須賀敦子が未来の夫となるジュゼッペ・リッカ(通称ペッピーノ)と初めて会ったのは,1960年1月2日,ジェノワの駅においてである。
無限に広い世界のなかで,無数の人間の海原のなかで,ひとりの人間が他のひとりの人間に出会い,愛し合うようになることは,宇宙的な広さをともなって,ある種不思議な感覚をもたらす。1929年に日本で生まれた女性と,1925年生まれのイタリア青年は,いったいどのような道程を経て,この日の出会いに至ったのであろうか。須賀敦子自身のエッセイや年譜等により,簡単に触れておきたい。
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