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はじめに
日本看護協会(以下,本会)は,1999(平成11)年1月の「手術患者取り違え事故」をはじめとして,連続して発生した医療事故を重く受け止め,同年4月,以下の5つの具体的取り組みを表明した。
それは,質が高く安心感のある看護を提供するための,(1)リスクマネジメント検討委員会の設置,(2)リスクマネジメントに関する業務のガイドラインの作成と普及,(3)看護職個人や医療機関に対する支援の強化,(4)医療機器・器材の安全管理とその開発について医療機器メーカーなどへの提案活動,(5)市民からの意見や相談への対応,である。
その後,1999年4月に本会内に発足したリスクマネジメント検討委員会(委員長:井部俊子)は,同年9月「組織で取り組む医療事故防止――看護管理者のためのリスクマネジメントガイドライン」を完成させ,そのなかで,事故防止策のひとつとして,リスクマネジャー育成の必要性を強調した1)。これを受けて,本会は2000(平成12)年にリスクマネジャーを養成するための研修(当時の研修名は「リスクマネジャー養成研修Ⅰ」)注1)を開催した。以降,2005(平成17)年まで,研修プログラムの評価・修正を加えながら「医療安全管理者(リスクマネジャー)養成研修Ⅰ」(以下,養成研修Ⅰ)と,「養成研修Ⅰ」の研修修了者が対象となる「医療安全管理者(リスクマネジャー)養成研修Ⅱ」(以下,養成研修Ⅱ)を提供してきた。
本稿では,医療安全管理者(リスクマネジャー)を養成してきたこれまでの研修の変遷と,2006(平成18)年度開講の新規研修の特徴,また本会が研修修了生に期待する役割にふれ,研修の企画における今後の方向性を述べたい。
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