焦点 病院内外の環境をめぐる研究
報告
病院環境整備の進め方
酢屋 ユリ子
1
1北里大学病院事務部環境整備課
pp.145-154
発行日 1991年4月15日
Published Date 1991/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900016
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はじめに
病院の環境設備の進め方は,病院の立地条件,規模,機能,建築設備などに応じて異なる。様々なアプローチがなされているとは思うが,環境に関する管理運営の体制が曖昧で,かつ問題意識が整理されず,また目的意識がはっきりしないために,医療の現場での困惑が続いているのではないだろうか。また一般的に,環境整備のための設備や考え方を含む基礎的かつ必要なことがらが定まっていないと思われる点も多い。そこに患者が居て,医療従事者の職場でもある病院において,環境問題に関する認識が一様ではないのは不思議な話である。
病院環境については,それぞれの部屋,病棟,病院を快適で適切に管理することだけに止まらず,病院を取り巻く周辺環境や社会環境を無視することはできない。今日,環境問題はグローバルな視点からの検討も必要となってきている。また,病院の雰囲気を家庭の雰囲気に近付ける必要があるとよく言われるが,具体的にはどうすれば良いのであろうか。一方,建物は変わらなくても,医学は日進月歩に専門化,細分化され,また数多くの医療関連職種も生まれてきており,社会も変化している。病院の中もそれらに対応して変化を余儀なくされていく。
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