特集 質的研究活動を促進するための資源QUARIN-J(Qualitative Research Implementation Network of Nursing-Japan)
査読の経験
学術コミュニケーションを効果的にするガイドライン
三浦 友理子
1
1聖路加国際大学大学院看護学研究科
pp.358-359
発行日 2024年8月15日
Published Date 2024/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681202224
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「看護職の学習をもっとポジティブなものとして捉えられないものでしょうか」—私が初めて質的研究を学術雑誌に投稿した際の査読コメントのひとつです。査読コメントへの返答はどのようなものでも多くのエネルギーを必要としますが,この時は何を問われているのかが分からずに返答に窮してしまいました。研究の問いの適切性を問われているのか,意義へのご意見か,それともデータを反映した結果でないというご指摘か。そもそも最後の一言なので質問ではないのか??
査読してくださった先生には意図があったはずですが,私のような初学者には実践知がないことも手伝ってこれを適切に読み取ることができませんでした。経験が豊富な人とそうでない人とでは,しばしば効果的でないコミュニケーションが生じます。これは,対象となる領域での実践知がまだよく言語化されていなければなお生じやすい事象なのではないでしょうか。QUARIN-JのWebサイトには,日本語版SRQR,質的研究方法を用いた学位論文評価基準が掲載されています。これらのガイドラインの内容を見ると,投稿者と査読者のコミュニケーションを円滑にする共通言語が示されているように思います。このような基準を挟んで両者が対話を行うことで,貴重な機会での不要なすれ違いを防ぐことにもつながるのではと考えます。
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