特集 ケアの意味を見つめる事例研究─現場発看護学の構築に向けて
5.投稿した事例研究論文が得た査読上のポイントと対応
吉田 滋子
1
,
野口 麻衣子
1
,
池田 真理
2
1東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻
2東京女子医科大学看護学部
pp.438-446
発行日 2018年8月15日
Published Date 2018/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201544
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はじめに
本章では,「ケアの意味を見つめる事例研究」(以下,本研究)で取り組んでいる事例研究の中で,これまでに学会誌に投稿して掲載まで至ったメンバーの経験から,査読でどのような指摘を受け,どのように対処して採択に至ったのかを紹介したい。
本事例研究の論文でこれまでに採択されたのは,表1に示した3本である。執筆に関わった主なメンバー間で,それぞれ査読において指摘された経験を共有し,質的に整理した。本来プライベートなものである査読内容を,論文をまたいで共有することは,同じ研究メンバーで取り組んでいるからこそ可能な試みである。わずか3例であり,まだ試行錯誤の段階ではあるが,私たちの取り組みの可能性を考える上で,査読という壁を乗り越えて理解が得られたそのプロセスを示すことは,今後,事例研究に取り組む方にも資するものが少なくないと考える。
以下,論文を構成する主な項目別に,査読でのやりとりを整理して紹介する。なお,査読コメントは本来非公表であるので,コメントの趣旨を要約する形で表現を修正したり,複数のコメントを統合したりするなどの形でアレンジしていることを了承いただきたい。
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