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—《がん看護実践ガイド》—女性性を支えるがん看護
阿南 里恵
1
1特定非営利活動法人日本がん・生殖医療学会
pp.489
発行日 2017年6月25日
Published Date 2017/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665200784
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現代の日本人女性は仕事や育児,介護など,それぞれにおいて大きな問題を抱えながら生きています。それらは一見,個別の問題のように扱われますが,実際には複雑に絡み合っていてなかなか抜け出せないのが現状です。例えば育児をしながら働いている女性は,子どもが成長するまで時間的,体力的に余裕がありません。さらに,そこへ突然自身のがんという重大な出来事が起こってしまったらどうすればいいのでしょうか。本書では,そのような複雑な問題についても取り上げており,がん経験者の立場からすると「まさにそれこそが現実!」と強く共感しました。
私は23歳の時に子宮頸がんによって子宮を失い,その後治療による後遺症を抱えました。これまでの12年間を振り返ってみて気づいたことは,年齢とともに悩みが変化していったということでした。おしゃれが大好きだった20代半ばまではお腹の傷を見られることが嫌で旅行に行けませんでしたし,20代後半からは出産できないために恋愛や結婚に戸惑いました。そして30代後半に差し掛かろうとしている現在は,早発閉経に備えて検査を受けている状況です。つまり,1人のがん患者であっても年月とともに社会や家庭での役割,また自分のありたい姿は変化します。だからこそ,がんが完治してもその後の長期にわたるサポートが必要となります。
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