連載 宝物,教えてください・6
イギリスで使っていた臍帯剪刀
高橋ゴールドマン 浩美
1
1お産の家せたがや助産院
pp.515
発行日 2016年7月25日
Published Date 2016/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665200514
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1989年にイギリスで始まった私の大学生活は当初,毎日が基礎科目の講義とゼミと文献検索,そしてレポート提出のくり返しでした。助産学科の学生として分娩介助実習が始まったのは,入学から1年半が経った1991年でした。卒業までに40例の正常出産を介助しなければならないのですが,その年の4月28日,私にとって第1例目となった出産を介助できました。日本ですでに助産師として300件以上の出産を扱っていたので,経過観察など難しいことはありませんでしたが,分娩セットを開けて,先端が丸く短いハサミを見た時には驚きでした。まさか,それが臍帯剪刀とは知る由もなく,セットに一緒に入っていた会陰切開用のハサミで臍帯を切ろうとして注意されました。英国では全国どこへ行ってもこの臍帯剪刀が分娩セットのなかに入っています。刃先がまっすぐでないことも驚きですが,挫滅しながら切ることでより自然な状態で臍帯を切れると考えられています。
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