--------------------
News File
pp.446-447
発行日 2012年5月25日
Published Date 2012/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102189
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
医療・周産期領域の最近の話題
髄膜炎,食中毒菌が母子感染新生児発症の恐れ
食中毒菌「カンピロバクター」による母子感染で,新生児が髄膜炎を発症したとみられる例が報告されている。関東地方に住む女性(29)は妊娠30週(8か月)ごろ,飲食店で生レバーを食べ,翌日に下痢の症状が出た。その6週間後,不正出血があり,産婦人科医院を受診。胎児の心拍を示すモニターに異常がみられ緊急帝王切開になった。生まれた男児は呼吸状態が悪く,すぐ群馬県渋川市の県立小児医療センターに搬送された。検査の結果,男児は髄膜炎と診断され,血液や髄液からは「カンピロバクター・フェタス」が見つかった。複数の抗菌薬の投与で菌は消えたが,脳性まひなどの障害が残った。
同センター新生児科の丸山憲一部長によると,カンピロバクター・フェタスによる新生児髄膜炎は1962年に海外で報告され,国内でも過去約20年で23例が報告されている。うち12例では母親が妊娠中に生レバーなどの生肉を食べていた。丸山部長は「大人は胃腸炎程度で済んでも,菌が血液に入って胎児に感染すると脳に重い障害を残すことがある」と警告する。
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.