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近年,母親学級や両親学級など出産前に行なわれる出産前教育の手法として「参加型クラス(ワークショップ)」の手法が徐々に浸透してきているようだ。講義形式が一般的だった従来のクラス運営のスタイルから脱却し,参加する女性とその家族の個性を大切にするのが参加型マタニティクラスである。参加者の主体性を重視したこの手法は,実際にマタニティクラスの運営を担当している私自身も,非常に適したスタイルであると感じている。しかしその反面,クラス運営に関わるのは教育の専門家ではない助産師,保健師や医師らで,その多くは講義形式の教育によって育ってきているため,スタッフ自身も参加型クラスの運営に戸惑いが多いのではないだろうか。
そんな私たちの気持ちをよく理解し,後押ししてくれるHow To本が,このたび出版された。ご存じの方も多いと思うが,著者の戸田律子氏は日本アクティブバース・センター代表・JACE日本出産教育協会代表で,英国で教育を受けたチャイルドバース・エデュケーターだ。ご自身でマタニティクラスを運営するのみならず,参加型クラスの道先案内人となるバース・エデュケーター(ファシリテーター)の教育にもご尽力されている。また,助産師を対象にした参加型クラス運営のワークショップの講師などもされており,私もその講義を受け試行錯誤しながら参加型クラスを運営している助産師の1人だ。今までにもマタニティクラスのマニュアル本は沢山あったが,「参加型マタニティクラスBOOK」は,これからクラス運営に携わろうという人から,実際に参加型クラス運営を行なっている人にまで,細かく気配りの行き届いた内容となっている。本書は読む人のニーズに合わせ3部構成で,各部にはチェックリストが示されており,マタニティクラス担当者の現状や運営しているクラスについても的確に評価できる。また,掲載されたコラムも参考になる内容で,さらに引用文献・参考図書も情報源としてぜひ活用したいと思うものが豊富に紹介されている。
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