連載 いま,ほんとうに必要な育児支援とは何か? 「大阪レポート」から23年目の調査が描くもの・2
「まったく子どもを知らない」まま親になる―親育てプログラムがいま必要になっている
原田 正文
1,2
1大阪人間科学大学社会福祉学科
2こころの子育てインターねっと関西
pp.178-181
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100449
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前回は,「大阪レポート」と今回の「兵庫レポート」のいくつかのデータを概観し,この23年の間に子育て現場の状況が,予測どおり,あるいは予想以上に悪化していることをお伝えしました。ポイントは以下の3点で,それらの状況を実際のデータで提示し,子育て支援の必要性を述べました。
・自分の子どもを生むまでに,小さい子どもとの接触経験がまったくないままに母親になる人が急増している。
・子育てについて話ができる相手がまったくいない母親は急増しており,子育て家庭の孤立化がますます深刻になっている。
・「子どもと一緒にいると楽しい」「赤ちゃん(子ども)は,かわいい」とほとんどの母親は答えるが,一方で「子育てでの負担感」や「イライラ感」,育児不安を訴える母親が急増している。
今回は,このなかの「親になるまでに,小さい子どもに触れたことがない」という実態に焦点をあてます。育ちのなかで親になるための準備がほとんどできておらず,その当然の結果として「親が子どもを知らない」状況が広がるなか,私たちにはいま何をすることが求められているのか,について考えたいと思います。
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