連載 教育と研究,臨床をつなぐメッセージ やっぱり私は,看護師だった!・10
出会いを噛みしめる時空間
那須 あい
pp.875
発行日 2011年10月25日
Published Date 2011/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101904
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先日,Iさんが急逝した。両膝の関節内注射と仙骨孔ブロックで通院していた彼女。杖を片手にリュックを背負って登場し,ハスキーボイスで「イテーッ」と苦笑しながらベッドに横になる。私たちの忙しさを読みながら,仲間とスケジュールを合わせランチして帰る。
繊細だけどボスみたいで“アラフィフ”同士,波長の合う仲だった。働きながら30代で両親を看取って,その後子宮と右乳房全摘。さらに腰椎後方固定術。今は,生活保護で一人暮らし。いつもつらいに決まっているけど,私は,表情をみては,「格別つらそうね」「少しはいいの?」などと話しかけ,少しやせたのに気づいて,「もしかして,膝・腰負担軽減,努力中?」と声をかけると,「わかる~?」なんて嬉しそうに笑っていた。外痔核や血圧の高さなどの他科受診の相談にのったりしながら,毎回わずかだけど,時を積み重ねてきた。
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