特集 今を読み解くキーワード集
(C)健康教育
C 健康教育
石井 敏弘
1
1国立公衆衛生院公衆衛生行政学部
pp.1023
発行日 2000年11月25日
Published Date 2000/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902315
- 有料閲覧
- 文献概要
学齢期(学校保健)においては生活・人生に汎用する課題であるライフ・スキルの開発を中心に,成人期(成人・老人保健)においては疾病予防や事故防止などに関係する具体的課題である生活習慣の改善(行動変容)に重点をおいて,健康教育が展開されてきた。
ライフ・スキル開発の理論的基盤を成す学習理論は,単純化された刺激→反応(行動)の強化を中心とする理論から始まった。近年は,社会の場で生じる多様な学習現象を統一的に理解するため社会学や心理学などの方法による接近が図られ,認知的要因を強調する社会的学習理論が発展してきた。また生活習慣の改善は,旧来の知識教授を中心とする方法では限界が経験されて,心理学,教育学や学際的な行動科学などが導入されるようになった。ライフ・スキルの開発および生活習慣の改善は,研究理論において共通する多くの学問分野が関わるようになってきた。また実際の場面においても,健康的な生活習慣を若年期から定着させることが健康障害の防止に最も効果があること,ライフ・スキル開発を促す要因は生活習慣改善にも資することが報告されている。学際化,そしてライフ・スキル開発と生活習慣改善の融合化の方向へ,健康教育はさらに発展していくと思われる。
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.