特集 看護マンパワーと展望
[資料]「老人の小地域計画」についてのWHOヨーロッパ事務局ワーキンググループ報告—モーリエール・スキートによる
前田 信雄
1
1札幌医科大学
pp.192-193
発行日 1992年3月10日
Published Date 1992/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900442
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1986年にチェコスロバキアのピエスタニイにおいて,「老人継続ケア」についての作業グループ会議が開かれ,これにはチェコはじめデンマーク,西独,ギリシャ,マルタ,ポルトガル,スウェーデン,英国,ユーゴなどの諸国の専門家が出席した。この会議の主目的は,在宅ケアのニード,代替的ケア(施設ケアに代わる)選択のニード,ケア付き住宅問題などを小単位の地域で計画することであった。ここでいう小地域とは,住民がその組織・団体の単位や区分をみわけられる範囲にしぼり,住民やスタッフが計画に具体的に参加可能な地域とした。地域事例としては,人口17万人のデンマークのフーネン市,ドイツの人口164万人のハンブルグ市について報告された。英国からは,ブリストルの人口21万人のフレンシャイ保健地区が選ばれた。
ここで取り上げられたSmall Area Planning for Elderlyのことを,以下では小地域老人保健計画と説明的に表現する。この計画においては,サービスの提供そのものについて解答を出すのではなく,逆にその地域での問題点を明らかにできるという利点が強調された。例えば,その地域の圧倒的に多額の費用が,もっぱら病院の急性患者の診療に向けられていて,在宅ケアのほうには極めて僅かだけということが,この小地域老人保健計画によって問題点として浮き彫りにされてくる。
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