今月の言葉
参議院議員選挙に思う
pp.5
発行日 1956年7月10日
Published Date 1956/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201225
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日本には5,420万の有権者があるといわれている.その人々が近く参議院議員を選挙するのでありますが,一体,如何なる動機をもつて投票するでしようか.
5,420万人中の多数は,個人的な動機によつて票を投ずるでありましよう.親類,縁者,恩人,利害関係のある人々のために,或は夜もろくろくねないで鉢巻きで運動するかもしれません.又ある有権者は,地方的なむすびつきで,躍起になることでありましよう.「地元の利益のためにこの人を!」と叫ぶことは,自分個人の商売に都合のよい人を立てるよりは大分進歩しています.しかし日本の有権者は,更に一歩ふみ出して,日本全体を大処高処からみてくれなくてはならないと思います.民族と国の真の成長を計画する代議士が少くては,明日が思いやられます.衆議院であろうと,参議院であろうと,私慾,党利をはなれ,真に日本の社会全体を憂い,目先きの成績は悪くとも百年の計を立て,動揺しないで行動するような人がほしいものです.
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