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第8回婦人週間を終つて
志田 京一郎
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1読売新聞婦人部
pp.53-55
発行日 1956年6月10日
Published Date 1956/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201218
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今年のテーマは"いかにして日本の家庭を明るくするか"というのであつて,応募論文によつて全国から選ばれた60余名の婦人たち,およびアドバイザーとして評論家伊藤昇,家庭裁判所調停委員大浜英子,東京教育大学教授岡田謙,全国未亡人団体協議会事務局長山高しげりの四氏が四つの部会を担当して熱心に討論が行われました.
今年の討議のテーマが身近かな問題であつただけに抽象的な論議が少なくそれぞれ生活の経験の上に立つて地についた討議がなされたことは大変な収獲といえましよう.しかしそれだけに戦後女権が解放されて社会的な視野に立つてのものの見方が養われつつあつた婦人の目を家庭の内側に向けるようないわば逆コース的な感じもなくはなかつたようです.多くの婦人にとつて家庭こそが生活の本拠であつて,家庭を明るくすることが生活を明るくすることであり,ひいては社会を明るくすることだという論拠もなりたつでしようが,何んといつても家庭を明るくする根底である家庭の経済が安定しない限り,真の幸福は得られないでしよう.従つて社会的に政治的に解決されなければならない問題も多いわけです.しかしそれはそれとして,家庭みずから改められなければならない問題も多いはずです.
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