講座
はしかの疫学
宮入 正人
1
1国立公衆衛生院疫学部
pp.16-19
発行日 1955年3月10日
Published Date 1955/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200913
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まえがき
今年ははしかの流行年です.小学校の先生や幼稚園の保姆さんは長年の経験ではしかには流行年と非流行年のある事をよく知つています.しかし一般には,はしかは一生の中必らず一度は罹る病気だし,学校を休ませて家で暖く寝床の中に入れておけば大事にいたらずにすむと云う考えでお医者さんにも診て貰わない人が非常に沢山あります.だがはしかの流行年にはただ患者が増加する丈でなく,はしかが原因となつて肺炎等の合併症から死亡する子供も増加しますし,死亡するにいたらなくとも中耳炎等を合併し障害を後に遺す事も多く,小兒の病気としては極めて普遍的であると共に重大な病気で從来と同様に殆ど放任状態にしておくと云う事は許せません.
この様に実際問題としては,はしかの予防が大切であると同時に,疫学としては,はしかと云う病気は極めて興味ある疫学研究の1つのモデルとして大切な病気でありますので限られた紙面と,拙筆で充分理解して頂けるかどうか心配ですが,はしかの疫学約特徴を次に述べてみましよう.
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