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第七回公衆衛生学会に出席して
後藤 正宏
pp.42-43
発行日 1952年10月10日
Published Date 1952/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200381
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八月十五日から三日間第七回公衆衞生学会が北の都札幌において開かれた。内地より北海道へ渡つた吾々にとつては,土地の人々が暑い暑いというのを聞いても,まるで別天地のようで,朝夕など思わずコートをひつかける冷しさである。学会は札幌医科大学で全国都道府県衞生部及び保健所の職員,大学,研究所の関係者等多数参加のもとに極めて盛大に行われた。演題の数は実に472に及び三日間の会期ではどうしても消化できないためにやむを得ず若干のものは紙上発表に変更された。その内容は凡そ公衆衛生に関係のあるものすべてを綱羅し,細菌学の基礎研究から行政の未端に至るまで誠に事多彩で,そのため会場を三つに分けて同時に発表が行われた。このため聴衆には聴きたい演題が重なつて不便を感じた面も見受けられたが,会期の限られた学会としてはやむを得ないことであろう。
この学会に一層の花を添えたのは,二日目午後総会に次いで行われた人口問題と精神衞生に関する特別講演で,会場の関係からこれは市民会館に於て行われ,先ず人口問題研究所の館氏から「我国の現下の人口」について報告があり,現在の日本の人口について詳細な説明を行うとともに,人口が国力を超えて増加するときは,深刻な結果をもたらすため人口を制限する必要があり,これには公衆衛生が最も大きな役割を果すものであると結論した。
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