ベッドサイドの看護
短歌表現にみる精神分裂病患者の思考の広がり
焼山 和憲
1
1宗像病院精神科
pp.1394-1397
発行日 1986年12月1日
Published Date 1986/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921593
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はじめに
短歌は,‘その時折の姿,心の動きなどを31音に表現,1)するものである.この創作活動が精神疾患患者の看護に有効性をもたらすのではないかと思い,クラブ方式の“短歌友の会”を発足し活動を行なった2).その結果,個々においては感性の高まり3),自己自立への拡大,グループにおいては共育的効果4)と望ましい看護効果を得た.
短歌は文字を書く表現行為であり,これは絵画と同様に,〈知覚—感情—思考〉5)などの律動性が31音に表現されるものである.この創作活動を通じて,内閉した精神分裂病患者の狭められた思考が,短歌の創作により拡大し,精神生活面に変化を与えるという効果を見い出した.
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