M.S.W.の目
人工妊娠中絶を希望する若い夫婦
中島 さつき
pp.64
発行日 1970年1月1日
Published Date 1970/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914743
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赤ちゃんは暖かい胎内に宿った時,精神的にも肉体的にも母とのつながりをもつ。人間は,その誕生を両親から喜んで迎えられ,愛情を注がれて育つ時,正常な人格をもって成長する。そして社会生活のなかで,人間を愛する能力と働く能力が与えられる。
しかし複雑,苛酷な社会環境では,この自然の原理がたやすく行なわれにくい。華やかに人生の門出をした新婚夫婦がまず必要なのは家,都会生活の住の問題はきびしく,経済的負担も大きい。アパートを借りれば「契約期間中は子どもをつくらない」と一札入れるのが普通であり,子どもが生まれれば立ち退かねばならない。嫁,姑,家族の同居,周囲への気がね,人間関係,さらに働く女性にとって出産,育児の負担は過重となる。
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