麻酔の知識・2
全身麻酔
沼田 克雄
1
1東京大学医学部麻酔科
pp.62-63
発行日 1968年5月1日
Published Date 1968/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913983
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全身麻酔
手術のための麻酔として,今日本で最も広く行なわれているのは,おそらく腰椎麻酔と浸潤麻酔であろう。これらは,ご承知のように,局所麻酔つまりその手術の局所だけに麻酔剤を作用させるものである。したがって患者の意識は保たれているし,麻酔剤の作用していない部分を切ったりつねったりすれば患者は痛がる。
これに対して,麻酔剤を全身的に投与するのが全身麻酔で,したがって適当な深さに麻酔された患者は,体のどこを切ってもつねっても痛がらない。そして意識を失うのが普通である。“普通”といったのは,特殊な麻酔法では,痛みを訴えないにもかかわらず意識が保たれることがあるからで,最近注目されているニューロレプトアナルゲジア(neuroleptanalgesia)という麻酔法では,最も端的にこの状態が得られる。これはまたのちに述べることにして,とにかく一般的には患者は意識を失う。
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