医療プリズム
労働災害・明治百年—炭坑災害と医療
金子 嗣郎
1
1都立松沢病院
pp.61
発行日 1968年1月1日
Published Date 1968/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913842
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9月28日,三井三池三川坑内で自然発火がおこり,7名の死亡と多数のCOガス被災者を出したが,三井三池といえば4年前の11月7日,炭塵爆発をおこし,458人の死者と800人のCOガス被災者を出したことがまだわれわれの記憶に新しいところです。
ところで明治以後の大きな炭坑災害は別表のようにたくさんくりかえされていますが,現在に至るまで,前近代的といわれる炭坑の災害がくり返されているのは,とりもなおさず人命の尊重という点が欠けているからであるといってもよいでしょう。かつては炭坑の労働は囚人などをつかい,囚人でない場合も,きくだにおそろしい“タコ部屋”の暴力の下で労働者をしばりつけ,こきつかっていたのですが,そうした人間無視の流れが「人問尊重」を口にする首相の国で依然としてつづいているのはどうしたわけでしょうか。彼が,ウソをついているのか,それとも悪意をもって自らの目をふさいでいるのでしょう。
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