クリニックからの発言
薬を使うときの“心得”
浦田 卓
pp.96
発行日 1966年10月1日
Published Date 1966/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912914
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私はこの1か年間,数名の先生がたとともに,「診療所診断学」という一般実地医家むきの診断学の本の飜訳に心血をそそいでまいりました。この原稿が「看護学雑誌」に掲載されるころには,おそらく本飜訳は,医学書院から出版されていることと思いますが,そのために時間をとられて,残念ながら,その間はこれといってまとまった医学の原書を読むことができませんでした。ところが8月に入って飜訳もゲラの校正の段階にまですすみましたので,この春ゆえあって大急ぎで通読したゴールドベルゲルの「医師はどう考えるべきか」という名著を,もう一度ユックリと時間をかけて読むだけの心のユトリをもつことができたのです。
この本と時間の内容を一言でいえば,“病気という実体は存在しない,存在するのは患者だけである”という点に尽きるかと思います。これを別の表現のしかたでいえば,医師が治療するのは病気であってはならない,患者をこそ治療すべきであるということです。
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