特集 看護婦の勤務と生活の合理化
第4部 生活を豊かにするために
ファイル(File)と屑籠—事務整理のしかた
金原 一郎
1
1医学書院
pp.148
発行日 1961年6月15日
Published Date 1961/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912567
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卓上日記というのがある。1カ月間を一覧表にしたもので,他に1週間のもの毎日のものなどある。いずれも携帯用ではなく,卓上において会議の日取りや約束を予記しておくものである。どんな人が使用するのか知らないが,新年になると方方から送つてくるのを見ると,世の中には愛用者が相当いるのであろう。しかし私はもつぱらPocket Diaryのみを愛用し,卓上日記というものは昔から使つたことはない。
私どもが外出して人に面会したり,いろいろ会議へ出席したりする。そのとき次回の会議の日時や場所を決める場合,お互いにポケットから手帖を出して打ち合わせをする。都合がわるければ日時を変更したり,お断わりしたりする。卓上日記では大きすぎて携帯できないから,誰でも小型の手帖を用いているのである。そこで卓上日記の愛用者は,外出先から帰つてきて,手帖のメモを卓上日記に転記しなければならない。それだからメモを書く仕事は二重になる。この反対に卓上日記からメモに転記する場合もあろう。いずれにしても,こんな忙しい時代に賛成いたしかねる二重操作であり,第一間違いのもとであう。事務はできるだけ簡単明確に整理することが,なによりも能率増進の秘訣である。丁寧すぎて複雑になることは,そもそも脱落や間違いのもとである。私は端的に卓上日記の愛用者は,練達な事務家ではないと断言してもよいと思つている。
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