Medical Topics
眼球突出,他
I
pp.88-89
発行日 1963年11月1日
Published Date 1963/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912075
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眼球突出は古くかつ新しい問題である。眼窩後方に腫瘍などがあり,それによる圧迫で眼球が飛出すような例を除けば,まだ原因がはっきりとせず,しかも学問的にはなはだ興味のあるのは甲状腺機能亢進症に伴う眼球突出である。いわゆるバセドウ氏病(米国ではグレーブス Graves氏病と呼ぶ)の一つの大きな特徴として眼球突出があげられているが,必ずしも全例が眼球突出を示すということはない。一方甲状腺の機能は一見正常でも眼球突出のみを示す患者もあり,また治療により甲状腺機能亢進が正常にもどっても眼球突出のみは残り,また場合によってはじょじょに進行することすらある。進行が極端な場合には,角膜炎などをおこして失明することもあり,そのような場合をわれわれは悪性ないし進行性眼球突出症とよんでいる。さらに興味あることは,このような場合,突出が片眼のみにおこることもある。
このような眼球突出の原因として,甲状腺機能亢進症患者の血清の中に眼球突出を惹起させる因子 Exophthalmos Producing Substance(EPS)があり,じっさいにフナなどの魚をつかって眼球突出をおこさせることができるといわれている。
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