医学講座
滅菌と消毒のはなし
藤田 五郎
1
1陸上自衛隊中央病院
pp.77-81
発行日 1963年5月1日
Published Date 1963/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911934
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.正確な滅菌・消毒の知識
臨床にたずさわっている人々にとっては滅菌・消毒にまったく関係のない日々はないといってもよいぐらいである。注射,導尿,穿刺,洗滌はもちろんのこと,伝染病棟勤務にいたるまで滅菌・消毒を離れてはなりたたない。かつて細菌・免疫学や基礎看護の学問として学んだこの道の知識は患者を対象とした臨床業務の毎日にどのように正確に応用していくか,うすれかけたこれらの知識に機会をとらえては正確さをとりもどす良心。
「某医院に破傷風の患者が入院し,医師の手によって創の浄創化も行なわれたが,そのときに使用したガーゼはその後100℃で1時間蒸気滅菌(筆者注:厳密には流通蒸気滅菌)した。その後,そのガーゼを婦人科の開腹手術をしたときに使用したところ,3人破傷風患者が続いて出た」という。話はよそごとではない。
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.