臨床検査とその介助・5
眼科における機能検査法
馬島 嘉範
1
1中央鉄道病院眼科
pp.18-26
発行日 1959年11月15日
Published Date 1959/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910957
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序 言
眼科に限らず各科においても機能検査は,臨床上ゆるがせにすることの出来ないものであることは言うまでもないが,眼科においては殊の外必要であつて,眼科医の仕事の半分は機能検査であると言つても差支えない。眼科の疾患は大部分その病変を肉眼で見ることが出来ると言う特色がある一面,この機能検査によつてのみ診断が下せる疾病も少なくない。従つて機能検査を精密に面倒がらずに行なうのが良心的で病気に忠実な医師と言うことが出来る。
眼科に於ける機能検査は,眼が感覚器であるため,他覚的のものよりも患者自身の自覚的感覚にたよるものが多い。従つて患者の知能程度や熟練の良不良によつて出て来た結果に差違或いは不正確があるのはやむを得ない。そこで吾々は検査に先立つて,検査のやり方を患者によく納得する様に説明することを忘れてはならないばかりでなく,患者が検査に対して素直に,場合によつては敏速に返答する様注意しなければならない。そのためには検者自身がいらいらして検査するとか,検査の場所が騒々しいとか,明る過ぎるとか暗過ぎるとか,又被検者が疲れて居るとかなどは,特に気を付ける必要がある。即ち検査は静かな部屋で直射日光を避けた窓際の明るい場所でしかも逆光にならぬ様に,又検者も被検者もゆつくりした気分で行なう事が肝心である。これらの注意が足らないために,あいまいな結果が出る様なことは往々にしてあることである。
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