Japanese
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特集 神経系における液性情報伝達機構
神経分泌細胞膜の性質
Membrane characteristics of the neurosecretory neurons
岩崎 静子
1
Shizuko IWASAKI
1
1東京医科大学生理学教室
1Department of Physiology, Tokyo Medical College
pp.271-280
発行日 1974年4月10日
Published Date 1974/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903616
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はじめに
神経分泌細胞はその分化の初期に腺細胞の特性を獲得した神経細胞であるとScharrer(1954)はいっている。形態の上からは神経細胞と神経分泌細胞の間にいくらかの差異を挙げることができるかもしれない。たとえば細胞内顆粒の大きさ,分布および染色性とか細胞末端部がどのような組織に接しているかというような点である。神経細胞は300〜600Åの直径のシナプス顆粒を軸索末端に持ち,わずか200Åほど離れた神経細胞(または効果器細胞)をその標的細胞としている。これに対し神経分泌細胞はこれよりはるかに大きい顆粒(その染色特性のために光学顕微鏡で存在を確認できる)を軸索末端のみならず軸索や細胞体に持ち,その標的細胞は血液・体液によって運ばれてはじめて達する遠くに分布している。機能という点からみると,この二つの神経細胞と神経分泌細胞に達いがあるであろうか,とくに細胞形質膜の働き方という点において違いがあるとしたらどういうところが異なるのであろうか。神経細胞の膜については数多くの研究があり,ここであらためて取り上げる必要はないが,神経分泌細胞の膜についての研究はそれほど多くはない。筆者が取り扱っているザリガニのX器官細胞は典型的な神経分泌細胞であり,その膜および今まで調べられた他の神経分泌細胞膜の性質について述べ神経細胞との差異を考えてみたい。
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