特集 結核問題の展望
結核の細菌学
宮本 泰
1
1国立予防衞生研究所結核部
pp.6-12
発行日 1954年5月15日
Published Date 1954/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910011
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結核という疾病が明らかに一定の病原菌によつて惹き起される伝染性の疾患であるという考えが確立されたのは1882年Robert Kochが彼の有名なKochの三原則の形で,その病原菌と思われる菌の発見を発表し,その中でこのものを“Tuberkelbacillen(結核菌)”と命名したときに始まる。
それ以前にも結核で死亡した人の臓器などの小片を実験動物にうえる時に,そのうえられた動物の内臓にはいつも同じような,一種特有な結節(Tuberkel)様のものを病的病化として認めることは判つていたのであるが,併しそれだけでは病原体を証明したことにはならず,更に立ち入つて科学的に精密な方法に基づいて実験を進める必要があつた。R. Kochは,初めて,方法論的にも全く隙のない完全な一連の実験を幾回も刻明に繰返し行つて,病原体証明の難事業を成し遂げたのである。
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