講座
異性患者との對人關係
古屋 かのえ
1
1国立東京第一病院附属高等看護学院
pp.22-25
発行日 1954年7月15日
Published Date 1954/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909595
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異性患者というのですから,まあ早くいえば男の患者ということになるのでしようが,男性と申しましても,まだ性的にめざめていない坊や達や,老い朽ちた枯木のような老爺達は,異性として問題にされる範囲には入らないと老えられますし,又患者対看護婦の関係は,即ち看護するこゝうによるのであつて,これまたその根底は愛情でありますから,私はまずこの愛情の問題からじよじよにこの論題を解明してゆきたいと思うのであります。
さて「愛情」とは何でしようか………一口に愛情と申しましてもいろいろな愛情があると思います。この間ある集りで都の青少年教育課長織戸先生のお話を伺いましたが,学校へも行かないで浅草辺のさかり場をうろついている学童達を調べてみたところがその殆どの子供達が二千円三千円という大金を持つていたのでその親達に会つて話してみると,この節二千円や三千円の金をあてがつておくのは……ということで,これだつてその親達にいわせれば親が子に対する愛情だというのだそうです。欲しがれば何でもいうなりに与える愛情,電車の中で他人を押退けて自分の子を坐らせる愛情,鳥獣だつて御承知のように吾子を愛する情はもつています。又妻子がありながら他の女性と同棲しているような愛情の人を皆様も2人や3入は知つておられるのではないでしようか?
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