発行日 1953年6月15日
Published Date 1953/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907313
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看護婦は患者に最も近く接触する人々で,もし彼女等が人間の感情がどんなものであるか,如何に患者の身體状況や疾病に感情が影響するかを知り,人間のいろいろの行動と感情との關係を知つて居るならば,看護婦自身が患者の悩みを相當に援助することができるばかりでなく,専門的社會事業の技術を身につけたソーシヤルワーカーの存在を願い,且つこれを最もよく活用するために一刻も早く連絡をするであろう。看護婦の生活は毎日非常に目まぐるしい程多忙なスケデユールで縛られて居るから看護婦のできる福祉的サービスは,患者に笑顏で大らかな態度をもつて接し,彼等の内心の悩みや葛藤に敏感であること,見出したら社會事業部に直ぐ知らせることである。又病室等で觀察力を働かし,その觀察したものを醫師や社會事業部に知らせることも大切である。我國ではこの仕事は未だ始つたばかりで,一方訓練された人の數の少いことと共同者である醫師や看護婦によく理解されて居ないこと,大きな何百人も患者の居る病院や療養所に僅かに1人乃至2人しか居ない,然も從來の患者係と兼任の有様であるから,その存在は微々たるものである。然しこれらの事情は年々逐次改められつゝあり,現在曲りなりにもメヂカルソーシヤルワーカーは千人以上に達して居る。私は長い目で見て,遲々としては居るが,我國の醫療サービスの進歩のためにこの仕事は必ず將來伸びて行くことを信じて疑わない。
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