特集 Merry Christmas
ヴイリヤン・シーコスとともに
田村 幸久
1
1外務省
pp.27-28
発行日 1949年12月15日
Published Date 1949/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906577
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スペインのクリスマスは北歐やアメリカのクリスマスと較べて見るとその雰圍氣やお祝いの仕方などについて相當違つている。冬とはいえ南國のことであるからスペイン特に首都マドリッドではクリスマス時分に雪が降るということは殆どない。又スペイン人は世界で最も敬虔なカトリック教徒といわれるだけであつて,彼等はこの日を純宗教的に祝うから,どちらかといえば子供本位で祝う前記諸國のようにこの日に子供にプレゼントをやつたり大人同士が贈物を交換し合つたりする習慣はない。
從つて我々が北歐諸國のクリスマス・カードを見て連想するような,四面雪で蔽われた銀世界の中を黄色い灯がともつた窓から流れる明りを目當てに,重い袋を背負つたサンタクロースのおじいさんが橇に乘つて良い子の枕元に急ぐ,といつたようなクリスマス氣分を味うことは出來ない。尤もスペインの子供達には1月6日にデイヤ・デ・ロス・レイエス(王樣達の來る日)というものがあつて丁度北歐のクリスマスのように良い子供達が予め王樣達に欲しいものをお願いする手紙を書いて置くと,その日の夜寢ている間に白い髯を生やした3人の王樣が遠く東方からやつてきて,子供達の枕元にそれぞれ好きなものを置いて行くことになつている。當日は官廳・會社・銀行などは休みで3人の王樣が假裝して馬や馬車に乘つて市内をねり歩き,親たちから贈物を貰えない孤兒や貧乏な子供達にも喜びを分ち與えている。
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