発行日 1948年6月15日
Published Date 1948/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906337
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第2節腹壓
腹壁及横隔膜の有する横紋筋の收縮によつて起る腹腔内壓の亢進な腹壓といい分娩第1期即ち子宮頸管が全開大にならぬ中は無用有害であるが分娩第2期即ち娩出期に於ての陣痛發作時に之を加うるならば骨盤結締織及會陰筋肉の抵抗に打ち勝つて之を娩出するので陣痛に遙かに優る偉力を發揮し分娩第3期に於ては,胎盤娩出にも貢獻するものである。尚分娩第1期に於て有害無益なる理由は子宮頸管が閉鎖してゐる。以上は如何に腹壓を加えても,子宮内容と共に子宮を骨盤内に壓下し,子宮を支持する靱帶を伸展して之を障碍するだけで何ら分娩の進行に寄輿することが出來ないからである。因に腹壓は分娩の第1期に於ては意志によつて左右し得るが分娩第2期に入ると陣痛は反射的に起り娩出期が進行するに從い,其の不隨意性は次第に亢進して發露時に於ては,意志によつてこれをおさふることが非常に困難となる,然るに分娩第3期になると腹壓は陣痛によつて反射的に起らず且意志により自由に統禦することが出來る樣になる。
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