発行日 1948年6月15日
Published Date 1948/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906336
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日本赤十字女子專門學校にからむ紛爭が社會に大きな反響を喚び起している。問題のキツカケは歸校時間に遅れた某生徒が同校主事より叱責され,投身自殺をはかつたことであるが,その根本的な原因は同校の封建的な制度にたいする生徒の不滿がこれを契機として一時に表明されたものといわれている。わたしはこの事件の眞相を知らない。從つてここに無責任な批評を試みようとするものではない。だが終戰以來民主々義とか自由主義が強調された結果,これに壓倒されて學校教育がルーズになり,とかく教育の權威を失墜しつゝある現状にかえりみて,あくまで正続的な教育方針を頑守しようとする學校當局の意向は判らないではない。いかに民主々義。自由主義といつても教育の方針を學校當局と生徒の合議で行うべきものでもなく,また,生徒の放埒な行動に一切不干渉主義をとるべきではあるまい。いわんや國民の習慣や社會の制度がすつかり民主々義 自由主義に親しんでいないのに,若い女生徒にたいして何らの監督もせず生徒のしたい放題に任せるというようなことがあつたら,かえつて教育者として無責任至極といわねばならない。
しかし,公平に見て日赤女專の教育方針も依然として封建的であることは疑いないようである。たどえば早朝の點呼その他勤務の状熊も相變らす軍隊の内務班そのまゝであり,ことに名稱は學校であるけれども授業の他に深夜勤務を含む8時間勤務制を採用しているようである。
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