[短期連載] クリティカル・パス—現在の焦点・3
個別的ケアへの対応
阿部 俊子
1
1群馬大学医学部保健学科
pp.764-767
発行日 1998年8月1日
Published Date 1998/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905650
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CPにおける患者の個別性への対応方法
ケアの標準化としてのCP(クリティカルパス)を用いたら,ケアが画一化されて,患者の個別性が無視されるのではないだろうかという懸念が大きいらしく,多くのところで質問される.そもそも疾患によっては患者の回復や治療への反応が大きく異なる.複雑な疾患や合併症の多い患者には,ケアの標準化されたCPの適応は難しい.まず,その患者に対してCPの使用が適切であるかどうかを見極めることが大切である.疾患や患者の特性を無視してやみくもにCPを適用したのでは問題が大きくなる.そのCPの適用の判断はアセスメントからの客観的データと主観的なデータからの総合で判断しなければいけない.
さらに,CPの柔軟性の度合いが患者の個別性をどこまで出せるかという鍵でもある.たとえば,複雑な疾患では,CPの時間軸を「何日目」という形で明確に設定してしまうのではなくて,順序立てて書いてあるだけの柔軟性のあるCPにするといい.そのほうが患者や疾患の個別性が出しやすく,ケア介入の経時性が明確になり,ケアの均質化という点での目的は達成できる.CPの柔軟性の出し方としては,・日付を入れずにケアだけを順に並べていく
・ケア内容をあまり細かくせず,オープンにしておく.患者アセスメント後に個別的に記入していく
・まったくのCPの枠だけで,内容は患者にあわせて記入していく
などがある(表1).
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