連載 当世フェミニン事情—ゆれる女性たち・8
「別れないで!」思わず言ってしまった私(その2)
高畠 克子
1
1東京都精神医学総合研究所
pp.370-373
発行日 1996年4月1日
Published Date 1996/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905067
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今月は先月に引き続いて,Gさんカップルに登場してもらい,セラピストとの三者面接を通して,どのように夫婦関係を修復していったのかについて伝えたいと思う.
Gさんたちは,7歳と3歳の子どもを持つ30歳と37歳のカップルで,夫婦の葛藤は夫が職場の若い女性と不倫関係に陥ったことに端を発している.前回書いたように,妻が温室育ちの若い看護婦さんで,夫は複雑な家族関係に苦労し,頑張りタイプの養護教員で,結婚当初からしっくりいっているカップルではなかったようだ.妻は夫に甘えながら,夫と子どもたちにあたたかく気持ちの良い家庭をつくることを理想としており,夫は妻もしっかり自立して,人間としてフィフティ・フィフティでいきたいと思いながら,現実的には妻に対して教員が生徒を見るようにプレッシャーをかけてきた.妻のいだく理想の家庭イメージと夫のいだく理想のカップル(夫婦ではなく個としての男女)のイメージが,大きく隔たっているうえに,夫が頭で描く妻のイメージと現実的な妻との関係に大きなギャップがあり,このカップルの葛藤を深くしていると考えられる.
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