連載 カズのもっとカンボジア日記・12
ちぐはぐ現象
崎間 和美
1
1アンコール小児病院
pp.829-831
発行日 2003年8月1日
Published Date 2003/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100981
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最近おもしろい本を読みました.近藤紘一さんが書いた『サイゴンから来た妻と娘』(文春文庫)という本.筆者は,1971年から75年までサンケイ新聞の特派員としてベトナムのサイゴンへ駐在し,その駐在中に子持ちのベトナム人の女性と出会い結婚したのです.サイゴン陥落後から日本での彼ら3人の生活が始まり,奥さんと娘さんの数々のエピソードに,ときには思わず“うふっ”と笑ってしまったり,ときには“うっそー”と驚かされたりで,ついついはまってしまいました.
私がカンボジアで生活していることが,この本への興味を倍増させたのでしょう.文中のあちらこちらにベトナムとカンボジアの共通点を見つけ,“そうそう!”と大きく頷き,また,日本人である筆者と私が同じように感じていることを知り,なぜか昔からの友人に出会ったようなワクワクとした気分でこの本を読んでいました.ただ,筆者と私の大きな違いは,彼が自身が感じ取ったことを高等に分析しわかりやすく解説しているのに対し,私は“これいやなんだよねー”“これ大好き”という個人的感情レベルで留まっていて,話の発展がないこと.もう少し勉強しなくちゃ,なんていう気分にもさせられました.
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