連載 カズのもっとカンボジア日記・23
人生を導くもの
崎間 和美
1
1アンコール小児病院
pp.717-719
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100498
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◆チマーとの出会い
1週間ほど前のことでした.朝いつもどおりに出勤し,「あー,また今日も始まったー」とオフィスへ差しかかると,どこからか「ミーニャ」という猫の声.「??? どこから?」と見まわすと,白黒のやせっぽち猫が階段のうしろからそーっと顔を出して私を見上げているじゃないですか.あまりに思いがけない出来事で,思わず「あらまー! こんなところで何してるの?」と聞いてしまいました.逃げちゃうかなと思いながらそっと手を出すと,「はー,これを待ってたのー!」とばかりにスリスリ,ゴロゴロ.
院内には,飼っているというわけじゃないけれど,野良猫がいつも数匹いるのですが,この辺では見かけない顔のオス猫ちゃんでした.それも,7~8か月にはなっているかと思うくらいの大きさ.通常は,その歳まで野良として育つと,人と目が合っただけでも「かかって来い!」とばかりに身をかがめ,闘争態勢で警戒するものなのに,この猫ちゃんは,警戒の“け”の字が最初の1分だけでした.とにかく「触ってちょーだい!」とばかりにスリスリ,ゴロゴロ.そのときから私のそばを離れなくなってしまいました.
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