調査・研究
頸部急性放射線皮膚炎を予防するために―ステロイド軟膏塗布の効果
向井 悦子
1
,
長尾 香織
1
,
佐々木 美保
1
,
筒井 茂子
1
,
唐木 將行
2
,
高嶋 均
3
1香川大学医学部附属病院東病棟6階
2香川大学医学部附属病院耳鼻咽喉科
3香川大学医学部附属病院放射線科
pp.943-947
発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100198
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はじめに
放射線治療で多くみられる副作用に急性放射線皮膚炎があり,主な症状として紅斑と色素沈着が認められる.症状の程度には個人差があり,放射線の総線量,皮膚の強さなどが影響するが,重度の急性放射線皮膚炎では,治療を中断するほどの影響を及ぼす.
当院の耳鼻咽喉科では,急性放射線皮膚炎の症状軽減のため,患者に対して照射後の皮膚冷却を指導している.それでも,発赤はほぼ全員に出現しており,約半数は水疱やびらんへ移行する.そうなった場合,患者は皮膚の痛みとそれに起因する夜間の不眠を訴えるようになる.
これらの苦痛の軽減対策をはかるために文献検索を行なったところ,乳がんの放射線治療時に,初回からステロイド軟膏を塗布することで皮膚炎が軽減できたとの報告1)があった.それが,頸部へも応用できないだろうかと考えたきっかけであった.
本研究では,頸部放射線治療患者の急性放射線皮膚炎に対し,予防的にステロイド軟膏を塗布することの有効性を客観的に検討したので報告する.
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