クローズアップ
骨盤位を鍼灸で治療.好成績をおさめる林田和郎先生
pp.173
発行日 1989年3月25日
Published Date 1989/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207570
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骨盤位妊婦の場合,胎位の矯正にあたっては従来,外回転術や膝胸位姿勢を毎日続けるという苦しい努力が強いられてきた.成功しない場合にはかなりの妊婦が帝王切開分娩へといたる.
しかし,東邦大学医学部産婦人科の林田和郎先生は、10年ほど前から鍼灸を用いた骨盤位矯正法に取り組み、抜群の成績をおさめ,妊婦から感謝されてきた.昨年5月には東邦大学医学部付属大森病院に「さかご外来」も設けられ,大盛況を呈している.過去6年間の林田先生の治療成績をみると,584人の妊婦に対する成功率はほぼ90%.詳細な方法論,原理,成績は本文の解説記事(26頁)をお読みいただくとして,東洋医学を総合的に取り入れた本治療法は,これから大いに普及していくであろう.なぜ,小指の至陰とくるぶしの内側の三陰交への鍼灸が「さかご」に効くのか.足のツボへの刺激が血流量の変化をおこすらしいが,からだと生命の不思議を感じさせられる.そして妊婦にとっては20分ほどの治療中の対話が精神安定をもたらし,プラス作用となるのである.
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