特集 働く女性の妊娠と育児への援助
勤労女性の母性保健学的問題点と新しい労働基準法
塚田 一郎
1
1関東逓信病院産婦人科部
pp.848-853
発行日 1986年10月25日
Published Date 1986/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206973
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はじめに
筆者が勤労女性の母性保健と関わりを持つようになったのは,今から15年ほど前に,労働省の労働基準法研究会第2小委員会に母性保護に関する専門委員として参加を命ぜられてからであるが,このときの調査成績を2〜3の論文にして発表して以来,勤労女性の母性保健に関連する論文の執筆依頼が相次いだ。これらの依頼に応じて,文献を紹介して解説する論文を繰り返し発表しているうちに,この方面の第一人者という誤解を受け,今回の男女雇用機会均等法のなかの母性保護条項については,最初から最後まで深い関わりを持たされた。
新法では,一般の勤労女性について従来の就業制限を大幅に緩和する一方,妊産婦(妊婦および産後1年未満の女子)の就業制限はかなり強められた。後者については,従来の主張の多くがとり入れられたという点で,かなり満足できる内容になっている。そこで本稿では,最近の文献を紹介しながら,勤労女性の母性保健学的問題点を論じたのち,男女雇用機会均等法の一環として改正された新しい労働基準法の母性保護規定について,簡単に解説することにしたい。
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