特集 双胎
多胎妊娠—双胎について
鈴村 正勝
1
1日本医科大学第一病院産婦人科
pp.2-5
発行日 1971年9月1日
Published Date 1971/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204198
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はじめに
多胎妊娠のなかで最も多いのは双胎であり,3胎,4胎はきわめて少ない。その頻度は,Hellinによると分娩80n-1に対し1例の多胎があることになっている。このnは双胎ならば2,3胎ならば3,4胎ならば4を入れるわけである。しかし,この80という数字には問題がある。
古い調査で恐縮ではあるが,私の調べたところでは本邦における双胎の頻度は分娩数の0.7%前後と考えている。ところが本邦においても病院の統計では,平均1.2%(理論的には1.4%と1.0%との間)であって,80の分娩に1回に近いが,人口統計を調べると,平均0.37%(理論的には0.41〜0.34%との間)であって,300回の分娩に1回ということになる。このように,統計をとった場所によって異なることは,なぜであろうか。この理由を推測すると,病院に多いのは,双胎分娩は異常がおこりやすいので入院分娩する人が単胎より多いためと思われる。人口統計で少ないのは,双胎分娩した場合にこれを嫌う風習があるために単胎として届け出たり,とくに1児が死亡した場合には単胎として届け出るのが多いためと思われる。そこでこの両者の双胎の頻度は正しくないように思われたので,私は産院および助産所の統計を調べたところ,0.57〜0.72%であった。この数値から,私は0.7%前後と考えたわけである。
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