特集 現場助産婦症例集
"どんぐり"
下副田 マサ
1
1国際聖母病院新生児室
pp.19-21
発行日 1971年1月1日
Published Date 1971/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204041
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
"どんぐり"。なつかしい言葉だ。頭の毛が薄く彼女にピッタリしたニックネーム。
ちょうど1年前のことです。生後3日目,黄疸で父親とその病院のナースに抱かれて入院してきました。子をもつ親なら心配するのは当り前ですが,そのときの父親の表情は真剣そのものでした。後で聞いてみると,廻旋異常で分娩時間が長かったらしく,頭蓋内出血の疑いがあると言われていたそうで,納得がいった。すぐ交換輸血がなされ,黄疸は落ちついたが,低体重なので保育器入りである。しばらく嘔吐が続き,点滴注射がなされる。これを見て家族が心配するのは無理もない。"新生児室の島田先生に児の経過を聞いて納得いきましたが,毎日接していらっしゃるあなた方の目から見た児の状態はどうでしょうか。たとえば,目つぎがおかしいとか,けいれんとか"と私たちに答をうながし,そのとき不安運動でもあろうものなら,真剣な表情で何回も納得のゆくまで聞いて帰る。
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.