特集 助産婦さんはこうあってほしい
看護婦の立場から
進んで資格を生かしてほしい
大谷 昌美
1
1神奈川県立厚木病院
pp.14-16
発行日 1967年4月1日
Published Date 1967/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203373
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助産婦はこうあってほしいとの願いをこめて,日頃考えていることをキタンなく書いてほしいとのことであるが,さて,となると何から書き出してよいものか少々とまどう.私自身を振り返って,今まで一度も助産婦になりたいと思ったことがないので,多少うしろめたいものが内在していて一種のブレーキをかけているのか…….かといって私は助産業務が嫌いで希望しなかったのかというと,決してそうではない.
私がナースに憧れて受験したのは昭和15年,支那事変から太平洋戦争に突入しようとする世をあげての戦時中であった.有名な"生めよ殖やせよ"のスローガンが巷に満ちあふれている時代でもあったが,私の心はひたすら戦地救護に向っていたし,養成された病院には臨時東京第一陸軍病院という看板が掲げてあり,院内はどこを向いても白衣の勇士ばかり,女人の患者といえば,戦地で病を得た先輩たちくらいであった.外来実習の折に,世俗的な外来患者に接してわずかに総合病院という感じを味わう程度であった.
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