臨床検査の知識・3
血圧
塚原 進
1
1関東逓信病院臨床検査科
pp.35-39
発行日 1957年4月1日
Published Date 1957/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201247
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血圧とは
大きい外傷や手術などで動脈を切ると,そこから血液がふき出し,リズミカルではあるが,消防のホースから水がはじき出されるようだ.頸の動脈であると犬などでも2m位高さの血液の噴水が出来上る.心臓がポンプの働きをして血液を押出しているからである.しかし静脈を切つた時は血液が押出される感じではなく,湧き出す感じである.出血の様子から,動脈が切れたのか,静脈が切れたのかがすぐわかることは御承知の筈である.血液の押し出される力は心臓の所が最大で動脈が枝分れして細くなるにつれて力は弱くなり毛細血管に入る前に急に弱くなる.静脈では逆に心臓に近い程,血液を押し出す力が弱くなつて,むしろ吸い込まれるといつた方がいいぐらいである.
血管を切れば血液が押し出されるわけであるが,その押し出す力は切らない時には血管を押し拡げようとしている.つまり血管の壁を押しているので,この壁を押している力を血圧といつている.この力つまり血圧は心臓のポンプが働くたびに強くなつたり弱くなつたりするので血管はそのたびに太くなつたり細くなつたりするのが脈搏で,動脈という言葉もそこから来たわけである.この血圧がないと,血液の流れが起らないので体の各部分に血液を送ることが出来なくなる.
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