講座
優生保護法の一部改正と薬事法
谷口 弥三郎
1
1参議院
pp.6-8
発行日 1955年12月1日
Published Date 1955/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200959
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従来優生保護法なる法律は,薬事法とは何の関係もなかつたのでありますが,今回の一部改正により,受胎調節実地指導員には避妊薬を販売し得ることが出来るようになりましたゝめに薬事法と関係が出来たのであります.勿論避妊用器具の販売はこれまでも自由に出来たのでありますが,避妊薬の販売は,薬事法の手続をふんで販売業者としての登録を受けなければ出来なかつたのであります.今度の改正によつて,実地指導員の身分があれば登録を受ける手続を要せずして,避妊薬の販売が出来ることになりました.尤も,これには一定の枠がついて居りますので,無制限に薬局と同様に販売権が出来たのではありません.実地指導員に対し避妊薬の販売を認めたいとの希望は,昭和27年優生保護法を一部改正して指導員制度を制定した当時からでありますが,薬務当局から強い反対意見がありまして,医薬品の販売を継続的に業として行うなら,薬事法の規定に従つて,所要の手続をふんで貰いたいとのことでありました.
薬事法によりますと医薬品の販売業を営むためには,都道府県知事の登録を受けなければなりません.そうしてその登録には二つの要件が必要であつて,即ち,人に関する要件として医薬品に関する知識があること.次に設備の要件として,一定の店舖を持つことが要求されているのであります.
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