Japanese
English
講座 治療の最近の進歩(5)
意識障害の評価
Assessment of Impaired Consciousness.
松本 圭蔵
1
Keizo Matsumoto
1
1徳島大学医学部脳神経外科
1Department of Neurological Surgery, School of Medicine, The University of Tokushima.
キーワード:
意識
,
神経学的重症度
Keyword:
意識
,
神経学的重症度
pp.375-380
発行日 1986年5月10日
Published Date 1986/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105597
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はじめに
意識された正常な行為は正常な脳機能にもとづき,意識障害は脳の機能不全の徴候であることは,すでにギリシャ時代から知られていたようである14).しかし,正常な人間の行動範囲は広く,かつ,その内容もさまざまなので,全く常軌を逸している場合をのぞき,そのような行為から意識の状態を判断し,その偏位を医学的に評価することはきわめてむつかしい問題であった.今日においてさえ,意識の全体像を捉え,これを総合的に評価することはできていない.
これから述べようとする近代神経学における意識障害の評価は,意識に関連すると思われるいくつかの,神経学的因子を抽出して,それを定められた約束のもとに区別し,段階的評価を試みるという方法がとられている.したがって,ここにいう意識あるいは意識障害という術語は,そのまま本質的な内容に完全に適合するものではないということをまず理解しておくべきであろう.
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