特集 末梢循環障害
総論
三島 好雄
1
1東京医科歯科大学第二外科
pp.743-745
発行日 1985年10月10日
Published Date 1985/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105457
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はじめに
日本と欧米では血管疾患の発生頻度,その種類に大きな差のあることはよく知られている.欧米では動脈硬化にもとづく腹部大動脈瘤や大動脈~腸骨・大腿動脈などに限局した慢性閉塞の症例が多く,血行再建手術が日常ありふれた手術となっているのに対し,わが国ではBuerger病ないしはその近縁疾患が四肢慢性動脈閉塞の過半数を占め,その病態上動脈閉塞が前腕・下腿の動脈に発生するので血行再建の適応となる症例が少なかった.
しかし,生活様式や食餌の変化,平均寿命の延長などに伴なって閉塞性動脈硬化症は年々増加の傾向にあり,閉塞部位も欧米型に近い中枢側閉塞例が多くなってきている.同時に,診断法の進歩,代用血管の開発・改良に伴ない,手術適応例がふえるなど,治療法も漸次変遷してきている.
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