追悼
佐藤俊之先生のご逝去を悼む
津山 直一
1
1東京大学整形外科
pp.588
発行日 1976年7月10日
Published Date 1976/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103597
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今年4月20日桜の花が散りつくした頃,佐藤俊之先生か晩年の数年を病まれた膵臓病の為にご逝去になったという報に接した.わが国リハビリテーション界の先達であり,東大整形外科教室の同窓の先輩であり,常に誠心私達を指導して下さったあの先生に再びお会い出来ない悲しみの思いと共に,ここに改めて先生の歩まれた道を振りかえる次第である.
先生は昭和5年千葉医科大学を御卒業ののち,昭和9年に東大整形外科教室に入局,故高木憲次先生の門に入られたのであるが,先生のお言葉によれば昭和9年の日本医学会総会で高木先生が行われた「整形外科の進歩とクリュッペルハイム(肢体不自由児療育施設)」と題する特別講演を聴かれ,高木先生の温顔とお弱そうな体躯の中に秘められた不幸な子どもたちに対する火のような愛情と鉄の闘志に心を強く打たれ,この道に進もうと決意された由である.大学ご卒業後数年にして肢体不自由児・者の為の道を選ばれ,その道を生涯変えることなく師と同じように火のような愛情と鉄の闘志を持って歩みつづけられた純心一徹なご人格には真に敬慕の念を禁じ得ない.
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