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編集後記
明石 謙
pp.168
発行日 1975年2月10日
Published Date 1975/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103281
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今村先生の「リハビリテーションに思うこと」の終りに述べられている“当然のことがわかるのに時間がかかるのもまた当然”の一節をしばらく口の中で繰り返しつぶやいているのに気がついた.1つは社会の常識となるまでに時間がかかる場合,もう1つは社会の常識として知られていても各々の人にはなかなか身にしみて理解できない当然のこともあるだろう.どちらの当然のことも,リハビリテーション界には山積されている.「総合リハビリテーション」に記された名文句の1つと思う.
今回の特集はファシリテーション・テクニックである.アイズマン氏はKabatらの体系,Brunnstromについては松村氏,Bobathについては紀伊氏,Vojtaについては中島氏が述べておられるが,いずれもその紹介者として非常に適任であり,内容の豊かなものとなった.しかも各々の著者がその特性を発揮しておられるため,講義のようなもの,実地指導のようなもの,理論的なものなどが混ざり,恐らく読者は退屈することなしに読み終えられたことと思う.さらにファシリテーション・テニクニック雑感として服部,江口,中村の諸先生の短文があり,これがまた興味深い.服部先生の文の終りの三行,江口先生の“CP児の機能障害をどう理解するかという訓練する側の意識のレベル”,中村先生の理学療法に必要な基礎科学としての三綱目,いずれもその道の造詣の深い方の述べられたことだけに,ぼんやりと考えていたことの一部を強い光で照らし出されたような感じがした.上出先生の総論も含め,この特集は大変興味深いものとなったように思う.
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